まず押さえる3点
1
指定された4市町に納税地がある方は、
令和8年7月28日以降に到来する申告・納付等の期限が、
全税目について、申請なしで自動的に延長されます(地域指定)。
2
延長後の期日はまだ決まっていません。
今後あらためて国税庁告示で示されます。
3
地域外でも、被災により期限までに申告・納付ができない場合は、
申請により延長が認められます(個別指定)。
この申請は、期限が過ぎた後でも行えます。
地域指定の対象
熊本県 八代市/宇土市/宇城市/八代郡氷川町
令和8年8月12日 官報掲載(国税庁告示第21号)/国税通則法11条・同施行令3条1項
対象になるかは「納税地」で決まる
地域指定は、住んでいる場所や被災の有無ではなく、
その国税の納税地が4市町にあるかどうかで判定します。
税目によって納税地の決まり方が違うため、下表で確認してください。
| 税目 |
納税地(=判定の基準になる場所) |
個人の所得税 個人の消費税 |
ご本人の住所地 |
法人税 法人の消費税 |
本店または主たる事務所の所在地
連絡先の事務所だけが地域内にある場合は、対象外です。
|
| 相続税 |
被相続人の最後の住所地(死亡時の住所地)
相続人の住所地ではありません。
|
準確定申告 (被相続人の所得税) |
被相続人の死亡当時の納税地 |
| 贈与税 |
財産をもらった方(受贈者)の住所地 |
根拠:相続税は、相続税法62条1項にかかわらず、
当分の間、被相続人の死亡の時における住所地が納税地とされています(相続税法 附則3項)。
国税庁タックスアンサーNo.4205にも、
「相続人の住所地を所轄する税務署ではありません」と明記されています。
相続のケース別 判定早見
自動延長される
被相続人が4市町にお住まいだった
相続人が全国どこにお住まいでも、
その相続税は自動延長の対象です。
被相続人の準確定申告も同じ扱いです。
自動延長されない
相続人が4市町にお住まい/被相続人は地域外
相続税の納税地は被相続人の住所地のため、
地域指定の対象になりません。
被災していれば、申請による個別延長で対応します。
なお、その相続人ご自身の所得税・消費税は、
住所地が地域内であれば自動延長の対象です。
要注意
贈与税は基準が逆
贈与税は、財産をもらった方の住所地が納税地です。
贈与者が4市町にお住まいでも、
受贈者が地域外であれば対象になりません。
延長される期限の範囲
- ■対象は令和8年7月28日以降に到来する期限です。
- ■申告だけでなく、申請・請求・届出・その他の書類の提出、納付も含まれます。
- ■毎月10日納付の源泉所得税など、全税目が対象です。
- ■納付については、その国税の納税地が地域内にあるものに限られます。
- ■申告のお知らせ等・消費税の中間申告書の発送は当分の間見合わせとなっています。
e-Taxのメッセージボックスには通常どおり格納されますが、期限は延長されています。
被災された場合のその他の措置
振替納税をご利用の方
指定地域内では、令和8年7月28日以降に納期限が到来する
予定納税2期分・消費税の中間申告分等の振替日が延期されます。
7月31日に引き落とし済みの予定納税1期分も、
納税の猶予の申請等により還付できる場合があります。
住宅や家財に損害を受けた方
確定申告で、雑損控除と災害減免法のうち
有利な方を選べます。
源泉所得税の徴収猶予・還付を受けられる場合もあります。
本地震は令和8年8月7日に特定非常災害に指定されたため、
雑損失の繰越期間は5年になります。
納税が困難な方
財産に相当な損失を受けた場合や、
一時に納付できない場合は、申請により納税の猶予を受けられます。
事業の継続・生活の維持が困難になるおそれがある場合も、
猶予の対象になり得ます。
相続税・贈与税の災害減免
取得した財産が被災し、被害割合が10分の1以上であれば、
災害減免法により減免されます。
申告期限前の被災は課税価格から被害額を控除、
申告期限後の被災は税額が免除されます
(後者は災害のやんだ日から2か月以内に申請)。
相続案件で追加検討が必要な特例(措法69条の6〜69条の8)
特定非常災害の指定に伴い、次の特例の適用余地があります。
期限延長とは別の制度で、対象地域の考え方も異なるため、該当案件では個別に確認が必要です。
- ●災害発生日前に相続が開始し、申告期限が発生日以後に到来する場合、
特定地域内の土地等・特定株式等を発生直後の価額で評価できます。
- ●この特例を受けられる方がいる場合、相続税の申告期限は、
期限延長後の日と「発生日の翌日から10か月を経過する日」のいずれか遅い日まで延びます。
- ●ここでいう特定地域は、被災者生活再建支援法の適用地域等であり、
今回の地域指定(4市町)とは範囲が一致しません。指定状況の確認が必要です。
国税庁の該当ページ・PDF一覧
対象となる方へお伝えするにあたって
4市町に納税地がある場合、期限は申請なしで延長されています。
特に相続税では、被相続人の最後の住所地が判定の基準になるため、
ご自身が対象かどうか分かりにくい点に注意が必要です。
一方で、現地は今も復旧の途上にあります。
まずは状況を伺い、
「期限は延びていますのでご安心ください」とお伝えすることが第一で、
書類や資料の準備を急がせる連絡と受け取られることのないよう、
十分な配慮が求められます。