令和8年熊本地震 国税の取扱いまとめ

国税庁 令和8年8月12日公表分をもとに整理(確認日:令和8年8月17日)
どなたが期限延長の対象になるのかを、税目ごとに判定するための要点整理

まず押さえる3点

1
指定された4市町に納税地がある方は、
令和8年7月28日以降に到来する申告・納付等の期限が、
全税目について、申請なしで自動的に延長されます(地域指定)。
2
延長後の期日はまだ決まっていません
今後あらためて国税庁告示で示されます。
3
地域外でも、被災により期限までに申告・納付ができない場合は、
申請により延長が認められます(個別指定)。
この申請は、期限が過ぎた後でも行えます。
地域指定の対象
熊本県 八代市/宇土市/宇城市/八代郡氷川町
令和8年8月12日 官報掲載(国税庁告示第21号)/国税通則法11条・同施行令3条1項

対象になるかは「納税地」で決まる

地域指定は、住んでいる場所や被災の有無ではなく、
その国税の納税地が4市町にあるかどうかで判定します。
税目によって納税地の決まり方が違うため、下表で確認してください。

税目 納税地(=判定の基準になる場所)
個人の所得税
個人の消費税
ご本人の住所地
法人税
法人の消費税
本店または主たる事務所の所在地
連絡先の事務所だけが地域内にある場合は、対象外です。
相続税 被相続人の最後の住所地(死亡時の住所地)
相続人の住所地ではありません。
準確定申告
(被相続人の所得税)
被相続人の死亡当時の納税地
贈与税 財産をもらった方(受贈者)の住所地
根拠:相続税は、相続税法62条1項にかかわらず、
当分の間、被相続人の死亡の時における住所地が納税地とされています(相続税法 附則3項)。
国税庁タックスアンサーNo.4205にも、
「相続人の住所地を所轄する税務署ではありません」と明記されています。

相続のケース別 判定早見

自動延長される
被相続人が4市町にお住まいだった
相続人が全国どこにお住まいでも、
その相続税は自動延長の対象です。
被相続人の準確定申告も同じ扱いです。
自動延長されない
相続人が4市町にお住まい/被相続人は地域外
相続税の納税地は被相続人の住所地のため、
地域指定の対象になりません。
被災していれば、申請による個別延長で対応します。
なお、その相続人ご自身の所得税・消費税は、
住所地が地域内であれば自動延長の対象です。
要注意
贈与税は基準が逆
贈与税は、財産をもらった方の住所地が納税地です。
贈与者が4市町にお住まいでも、
受贈者が地域外であれば対象になりません。

延長される期限の範囲

被災された場合のその他の措置

振替納税をご利用の方
指定地域内では、令和8年7月28日以降に納期限が到来する
予定納税2期分・消費税の中間申告分等の振替日が延期されます。
7月31日に引き落とし済みの予定納税1期分も、
納税の猶予の申請等により還付できる場合があります。
住宅や家財に損害を受けた方
確定申告で、雑損控除と災害減免法のうち
有利な方を選べます。
源泉所得税の徴収猶予・還付を受けられる場合もあります。
本地震は令和8年8月7日に特定非常災害に指定されたため、
雑損失の繰越期間は5年になります。
納税が困難な方
財産に相当な損失を受けた場合や、
一時に納付できない場合は、申請により納税の猶予を受けられます。
事業の継続・生活の維持が困難になるおそれがある場合も、
猶予の対象になり得ます。
相続税・贈与税の災害減免
取得した財産が被災し、被害割合が10分の1以上であれば、
災害減免法により減免されます。
申告期限の被災は課税価格から被害額を控除、
申告期限の被災は税額が免除されます
(後者は災害のやんだ日から2か月以内に申請)。
相続案件で追加検討が必要な特例(措法69条の6〜69条の8)
特定非常災害の指定に伴い、次の特例の適用余地があります。
期限延長とは別の制度で、対象地域の考え方も異なるため、該当案件では個別に確認が必要です。

国税庁の該当ページ・PDF一覧

対象となる方へお伝えするにあたって

4市町に納税地がある場合、期限は申請なしで延長されています。
特に相続税では、被相続人の最後の住所地が判定の基準になるため、
ご自身が対象かどうか分かりにくい点に注意が必要です。

一方で、現地は今も復旧の途上にあります。
まずは状況を伺い、
「期限は延びていますのでご安心ください」とお伝えすることが第一で、
書類や資料の準備を急がせる連絡と受け取られることのないよう、
十分な配慮が求められます。